【ブータンの染料で染める】藍+ラックで紫に染めました

ウールの産地ブムタン地方では、藍で青く染めた糸をラックで染め重ねて紫色を染めます。
おもしろいことに、藍もラックも使うのに野蚕の織物の産地ラディの人は、この紫染めを知りませんでした。地方により微妙に違うのですね。

ウール、シルク、ブラ(野蚕)の糸36gを染めてみました。

糸

 

ラック、30.5グラム使ってみます。

ラック

 

ラックは樹脂の塊の中に、ラックカイガラムシが埋もれています。この樹脂をなるべく細かく砕くことにより、ラックカイガラムシの中の色素がお湯に簡単に溶け出してくれます。ハギレで作った叩き袋に入れて叩きました。

ラック

 

簡単に細かくなります。もっとサラサラにしてもよかったかな。でも十分でしょう。

ラック

 

お湯を入れると赤黒くなります。全体で2.5リットルの染液をとるため、まず50℃のお湯1リットルを入れてかき混ぜました。

 

ラック

 

色をチェック

ラック

 

布で漉します。樹脂は溶けずに残っています。(沸騰した湯を入れると樹脂が溶けてボールにくっつくので注意)

ラック

 

再び50℃1リットルのお湯を注ぐとまだ色がでます。最後に0.5リットルのお湯を入れると、もうほとんど色が残っていないのが分かります。

 

ラック

 

2.5リットルのラック液に酢30CCを加えました。最初、温度が下がったラック液はラックの沈殿が見えていましたが、酢を入れてかき混ぜると沈殿は消えて液の色も明るくなります。pH4になりました。

ラック

 

ブータンでは先媒染で染める人、後媒染の人、いろいろです。今日は50℃まで温めた染液に3分くらい浸し、それからミョウバンで5分媒染。染液に10分浸し、ミョウバンに20分媒染。染液に糸を戻しいれ、35℃に下がっていたのでゆっくりと加熱。シルクとブラ(野蚕)は濃い紫になったので先に取り出し、ウールは軽く沸騰させてから火をとめて放冷しました。

 

ラック

 

下の写真は無媒染で3分染液に浸した後、ミョウバン液に入れた糸。ミョウバン液に入れたときに色は定着するだけでなく、鮮やかに発色して見えました。

紫

 

ブラ(野蚕)糸は、いつもは乾くと色が白っぽくなってがっかりするのですが、この色に関しては乾いてもとても鮮やかでした。(乾かした写真撮り忘れ) ウール糸は青が強く出てしまっていました。

紫

 

琉球藍を加熱して紫に染める方法も可能ですが、鮮やかさと力強さの点で藍とラックはいいコンビだと思いました。