【ブータンの染料で染める】ラックでリネン糸染め、韃靼蕎麦でブータンカラーに

リネン糸があったのでラックで染めてみました。ミョウバン媒染で可愛いピンク色に染まりましたがブータンっぽくないので韃靼蕎麦を重ねました。どこかほっとするブータンカラーになりました。

ラックは煮るとベタベタになる、ちょっとやっかいな染料のイメージがありますが、砕いてお湯をさすだけでとっても簡単に染液がとれます。そして、どんな糸にもよく染まります。(と、最近学びました^^;)

 

未加工のラックはこんな形をしています。木の枝にラックカイガラムシが分泌した樹脂の塊です。

ラック

 

布袋にラックを入れて金槌で叩いて潰しました。力をいれなくても潰れます。お米粒サイズが目安。こうすることで、50度くらいのお湯をさすだけで簡単に染液がとれます。

ラックを砕く

 

お湯を加えて軽く混ぜるだけで色素が溶け出します。低すぎると色素が出にくいので、指を入れて熱いくらいの50度前後を目安にしています。熱湯にするとラックの樹脂分が溶けてベタベタと容器についてしまうので注意。

お湯をさした

 

ラック液だけを鍋に移すと樹脂分が残ります。まだ色素が残っているのであと2回くらいお湯を加えて同じように液をとります。このときは、1リットルずつ2回と0.6リットルを1回、合計2.6リットルの染液をとりました。

樹脂

 

3回目ではほとんど透明です。温度が低いと色素が残りがちなので、やっぱり50度以上は欲しいかな。。。特に最後は。

 

ラック液は少し濁って色素が凝集して見えますが気にしなくていいです。食酢を30CC加えました。pH4。

酢

 

酢を加えてひとまぜすると、濁りがなくなり、液は少しオレンジ色っぽくなります。これでOKです。ラックは酢を入れないと染まりにくいので忘れないように。

酢を加えた

 

いつもは先媒染するのですが、今日の気分で中媒染にしてみます。
媒染していないリネン糸をラック液に20分ほど浸しています。温度は50度くらいでそれ以上は加熱していません(加熱してもいいですけど)。サーモンピンクです。

最初の染め

 

軽く水ですすいでから0.2%ミョウバン液に20分ほど浸しました。最初は薄いサーモンピンクでしたが、だんだんピンク色に変化してきました。

媒染

 

糸を軽く水ですすぎ、絞り、染液に浸してから加熱、5分ほど軽く沸騰させてからそのまま放冷しました。媒染の力で色が濃くなっていく様子にワクワクします。

2回めの染め

 

ラックの色素はすっかり吸収されてしまって残液もこんなに薄くなりました。

残り

 

可愛い可愛いピンク。リネンの光沢。しばらくはルンルンしていたのですが、やっぱり私の知っているブータンカラーじゃないなぁ・・と感じ始めたので、韃靼蕎麦粉を使って染め直すことにしました。

ピンク

 

韃靼蕎麦の粉(食べる粉です)10gを2リットルの水に溶いて加熱します。韃靼蕎麦はこんなに黄色いです。

韃靼そば

 

その中にミョウバン媒染をしたピンクの糸を入れるとたちまちオレンジ色になりました。たぶん5分も煮ていないです。洗ってミョウバンで媒染します。

糸

 

ラック45g,水2.5リットルで染液をとりました。さきほどの韃靼蕎麦でオレンジになった糸をラック液に入れます。時間を記録し忘れてしまいましたが、たぶん沸騰させて5分くらいで火をとめて何時間も浸しておいたはず・・。

ラック

 

地の糸に今ご紹介した糸を使って織っています。温かみのある落ち着いた色になって気に入っています。ちなみに、模様糸はあえてデコボコの手紡ぎのエリ蚕糸(ブータンではブラといいます)を使っています。

地色はラック

 

韃靼蕎麦を染料に使うのはブータンの中でも寒冷なブムタン地方です。写真は染めの名人ソナムさんとブムタン特産のウールのヤタ織物。お店の前には化学染料で染めたアクリル糸のツーリスト向けの織物が広げられていますが、ソナムさんに言えば奥の棚から手紡ぎ糸、天然染料染めの織物を出していただけます。ソナムさんの染めの技術を受け継ぐ人はいるのでしょうか・・・。消えてしまうと復活は難しい。お元気なうちにソナムさんにもっと教えていただきたいことがいっぱいあります。ブムタンにディープな染色ツアーを作ったら参加したいという方、いらっいませんか?

ソナムさん