ブータンの納豆料理【イッパベース(焼き納豆)】

yalang

2014年12月、東ブータンに行ったついで納豆を探すも「最近は作らなくなった」とみんなに言われてがっかり。そのときのドライバーはとっても頼りになる我らがチャドさん。「今度来るときまでに村の家族に頼んで納豆を作ってもらいますよ」と約束してくれました。

チャドさんはタシガンの北東に位置するヤラン村(タシヤンツェ県)の出身です。
東ブータンの染織ツアーなどでは、西ブータン出身のガイドの言葉が通じないのでドライバー兼通訳兼コーディネーターと大活躍してくれています。

チャド

 

そして2015年3月、東ブータンツアーにやってきました。
約束通り納豆を持ってきてくれました。ヤラン村に住むおばさん(お母さんの妹)が作ってくれたそうです。12月に大豆を茹でて何も加えずに竹ザルに広げてザルごと布で包んで常温で自然発酵。1ケ月くらいして塩、粉唐辛子、山椒を加えて潰しておいたもの。昔は竹わっぱに入れていましたが、今はプラスチックの容器で保存します。

作ってくれたのは冬の季節でしたが、温暖な地域なので布を重ねて包めば冬でもできます。

東ブータンの他の村ではすご〜く臭い納豆にも出会ったことがありますが、チャドさんの納豆は臭くありません。密閉容器に入れて長くおいておくと虫がでて臭くなるので、平たく丸く形作って天日に干すか竈の上の棚においておくとの説明。「何年くらい保存できるの?」と聞くと、「その前に食べちゃうよ!ワハハハハ」と笑われました。

さっそく納豆料理「イッパベース」を作ってくれました。イッパ(=発酵)は納豆のこと。リビイッパ(リビ=大豆)とも言います。ベースというのは平たく丸く焼いたもののことです。

まず、固まっている納豆を砕きます。

砕く

 

こんな感じでパラパラしています。臭いは強くありません。
塩や唐辛子粉や山椒はすでに入っていて、このときにまたちょっと足していた(と思います)。

砕く

 

丸く平べったい形にしました。やっぱり納豆ハンバーグだ・・・。

整形

 

フライパンに油をひかずに焦げ目をつけて焼いて出来上がり。あまりクセがなくて食べやすいです。

焼き納豆

 

チャドさん(1973年生まれ)が小さい頃、村ではお金持ちの人しか牛を飼えませんでした。ですからバターやチーズはふつうの人は食べられなかったそうです。今のブータンでは、野菜や唐辛子の煮物の味付けにチーズと塩を使いますが、昔は納豆と塩で味付けしていたそうです。

納豆の食べ方

<その1> ソロ・モーム(ソロ=唐辛子、モーム=おかず)

唐辛子を切り、水、食用油、納豆、塩を入れて煮る。

<その2> イッパベース

上述の焼き納豆

<その3> チーズにプラスしてダシの代わり?

唐辛子、食用油(またはバター)、チーズ、塩を入れて煮たおかず(いわゆるエマダツィ)に片手いっぱいの納豆を投じると味が良くなる。他の野菜を入れても良い。
この食べ方はチーズが手に入るようになってきたけれど納豆もまだ捨てがたし・・・みたいな状態なのでしょうね。

今では牛を飼う人も増えたし、誰でも簡単にチーズが手に入るようになったので、納豆を作って食べる人はすごく少なくなって、チャドさんも美味しいとは思うけどなくても別にいいかな・・だそうです。

今なら納豆の作り方を知っている人もいるので、東ブータンに行くなら体験してみてはいかがでしょう?