ブータン・綿花栽培が残るトンサ村 綿畑・糸紡ぎ・染色の3泊4日
旅のプランをたてるとき、あちこち行きたい誘惑と一箇所だけでゆっくりしたい気持ちの間でいつも悩みます。せっかくブータンに行くのに誰も知らない山奥の村しか行かなかったこの旅は、今までで一番豊かな時間を過ごせた旅でした。 We visited Thongsa village in Pemagatshel to learn cotton cultivation, spinning, dyeing, weaving. We had wonderful days with village people.
昔はブータンの南部でふつうに行われていた綿花栽培ですが今はほとんど絶えてしまいました。かろうじてまだ続けているペマガッツェル県トンサ村に3泊し、綿摘み、糸紡ぎ、染め、織りをじっくり見せていただきました。トンサ村では県の役人が首都に出張するときなどの土産物として綿織物を買ってくれるので、他の農作業の合間に綿栽培を続けているそうです。(さらに詳細は、染織の旅報告書2016年版に記録しています。)
インド・アッサム州からブータンに入り、トンサ村を訪れて帰ってきました。経由地のアッサムとではエリ蚕の村にも行けたので、充実した旅になりました。
自給自足の暮らし方がまだ残るブータンらしい村です。数年前に道路ができて、大雨で崩されなければ村のすぐ下まで車で入れるようになりました。
迎えてくれた男性が着ているのは、お母さんが織った綿織物の民族衣装。この村で育てた綿、この村の植物で染めた色、100%Made in Thongsa村です。
家の脇に植えられた琉球藍。染色に使う植物は村の中に植えていたり自生していたり。
藍染のやり方を見せていただきました。生の琉球藍の葉を叩き潰しています。
潰した琉球藍の葉と灰汁を混ぜます。一週間ほどおいて発酵したら、糸を入れてさらに一週間ほどおいておきます。ムラにならないように糸はときどきもみほぐしますが、基本的にずっと藍の液に浸しておきます。
こちらは一週間ほど前に糸を入れておいたもの。一連の工程を一度には見られないのでちょっと複雑なお願いをして心配でしたが、村の人たちはとても協力的で感謝🙏
よく染まっていました。糸はもちろんこの村で育てた綿の糸です。
よく洗ってから綛を広げて干します。この後、藍の生葉を入れたお湯にこの糸を入れ、軽く沸騰させてそのまま数時間放置すると色が良くなるそうです。
これはアカネです。ブータンの暖かい地方のアカネは冬越しをして(牛に食べられたり草刈りされたりしなければ)茎が太くなります。その茎を採って束ねて乾燥保存しています。茎からたっぷり色素が得られるので、わざわざ根っこを掘らなくてもいいのです。
たっぷり採れるからといって、なんと贅沢な・・・。
ウコンにはアカネの染液を少し加えて色を深めていました。ブータンの他の地方でもウコンを使いますが、アカネを加えるのは初めて見ました。
ハイノキ科ハイノキ属の植物の葉。アルミニウムを多く含み、生の葉を煮て媒染剤として使います。
綿畑に連れていってもらいました。すごい斜面ですね〜。さすがヒマラヤ山脈に張り付いている国です。
これがトンサ村のコットンボールです。
摘んだ綿は少し乾かしてから種を取り、弓で打ってふわふわにします。簡単そうですがやらせてもらったら綿が逃げてしまいました😅
道具は日本のものと似ていますね。どんなルートで繋がっているのでしょう。
綛をつくる道具。これはちょっと変わっていて面白いです。
あやとりをしているみたいな綛の作り方です。糸を玉に巻くときには自動的にほぐれていく優れモノです。
私たちも体験させていただきました。日本で綿を扱っている人も、ブータンの道具では勝手が違って苦戦したりうまくいったり村人たちも大笑い。心通うこの時間はとっても楽しくて、これからも染織の旅ではちょっとだけでもこんな時間を入れたいと思いました。
輪状整経です。
いつもはもっと幅広の布を織ります。糊がしっかりついているので、緯糸を濡らしながら織っていました。茶色っぽい糸はアカネ、黄色がウコン、青が琉球藍で染めた糸です。
最高の贅沢キャンプの食事。ブータンのイケメンや味のあるスタッフたちがサービスしてくれました💕テントは2人用、ベッドもあって快適。星空が綺麗だったなぁ・・・。
私たちのテントのロケーションです。このすぐ上がトンサ村です。
ブータンは小さな国ですが、行けば行くほど面白いところが出てきてなかなか終わりにできません。