カード織りの帯、模様の名前が知りたい! names of motives for card-woven belts

カード織りの帯の模様の名前をkelzangtexeilsの看板娘ヌモちゃんに調べてもらいました。
(ほんの少しですが、これから充実させていきますね)

ブータン、といっても地方によって言葉が全然違います。クルテ地方の織り手の人から聞き取ったので、他の地域の人には通じません。念の為。

 

整理するとこのようになります。

1.誰もが模様の名前も意味も知っている(あまり多くない)

2.誰もが模様の名前を知っているが、意味は分からない

3.模様全体の名前はないが、その模様を構成するモチーフの名前や意味は分かる

4.名前も意味も分からない

 

ほとんどの人が「模様の名前なんて考えたことなかった〜!」と、答えに窮したそうです。織る人が少しずつ新しいデザインを工夫していくうちに、いろんな模様が生まれてきたんですね。

外国人の私たちは「模様に込められた意味」を期待してしまいます。でも、そのために誤った情報が独り歩きしてしまうので(ただの「木」なのに「生命の樹」と書かれたり)、事実を見なくては・・と反省。

 

前置きが長くなりましたが、ヌモちゃんの努力の調査結果です!

カード織りの帯・模様調査結果

 

帯の模様 1.Drami ( simple )

ダミのシンプルバージョン

ダミとは、お釈迦様の無限の慈悲、八吉祥模様のひとつ

典型的なモチーフです。

フルバージョンや応用バージョンも今後調べたいと思っています。

帯の模様 2.Tanka ( bow and arrow )

タンカ (弓矢)

これは分かりやすいですね!

帯の模様 3.Gimtse chan ( scissors pattern )

ギムツィチャン(ハサミの模様)

このモチーフもよく知られている模様です。

帯の模様 4.Tsantsanza ( Yartha pattern )

ツァンツァンザ (糸杉の実)(ヤタ織物の模様)

ウールのヤタ織物を見て応用した模様とのこと。小さい四角が糸杉の実。真ん中部分を変えるとバリエーションが広がります。

帯の模様 5.Center is dorji and outside is gimtse chan ( scissors pattern )

真ん中はドルジ(金剛杵)、外側はギムツィチャン(ハサミ)

ドルジもギムツィチャンもそれぞれ典型的な模様。それを組み合わせてアレンジ。こんなふうに、真ん中にスペースがあると、そこにいろんな違う模様を入れてみたくなるんです。

帯の模様 6.Center is baso and the outside they call it khuli chan ( it means Yartha pattern )

真ん中はバソ(牛の歯)、まわりはクリチャン(ヤタの模様という意味)。

バソは帯に使われる典型的なモチーフ。単体というより、このようにパーツとして使われることが多いです。

まわりはウールのヤタ織物を見て応用してみたもの。

帯の模様 7.Half Pa tsho ( we make and eat it during rituals. Pak tsho )

半分の「パツォ」。パツォは小麦粉やバターで作る供物。仏教の行事で大量に作って食べる。

これはハーフサイズとのこと。フルサイズも見てみたいですね。

帯の模様 8.Tsantsanza thankpa ( tsangtsangza with rope style ) inside is baso.

ツァンツァンザ タン(ク)パ (糸杉の実、ロープスタイル、中央は牛の歯)

並んだ四角は糸杉の実。それを囲んでいるのはタン(ク)パ、ロープのイメージだそうです。中央は牛の歯模様。

帯の模様 9.Dorji pattern 

ドルジ(金剛杵)

ドルジのモチーフのアレンジはとっても多いです。

帯の模様 10.Center is baso outside is khuli chan ( Yartha pattern )

中央はバソ(牛の歯)。周囲はクリチャン(ウールのヤタ織物の模様)

真ん中だけ変えて無限のバリエーションができます。

帯の模様 11.Khemartekpa with baso

ケマテクパ(ハエの羽)とバソ(牛の歯)、のコンビネーション模様

模様全体の名前はありませんが、三角部分は模様のお母さんとも言われる一番最初に練習するケマテクパ(ハエの羽)模様の組み合わせ。中央の縦に1本棒が入っている四角形は牛の歯。歯が一本バージョンですね。

帯の模様 12.Combination of Khemartekpa techniques

ケマテクパ(ハエの羽)を組み合わせた模様。でも典型的なハエの羽ではなくて、それぞれの模様の真ん中が1本の棒のように見えるので、バソ(牛の歯)っぽいハエの羽です。

帯の模様 13.Nang gong chu mey chan ma ( water eye ) where the stream water comes from.

模様全体の名前はありませんが、ガンゴンチュメの模様の組み合わせです。一見ケマテクパ(ハエの羽)、の組み合わせに見えますが、真ん中にポチっと1点が入っていると、水が湧き出ている泉(チュミ)になるのです!

他のバリエーションは相当違っていてもひとくくりにしてしまうのに、チュミのこの「ポチっと1点」の違いは重要視している感覚が面白いと思いました。

帯の模様 14.Pa tsho ( tsho pak tsho )

仏教行事のときに作って食べる供物パツォ(パクツォ)

模様 15. Ja Dar

ジャ ダル

名前は知っているけれど意味は分からない模様のひとつ

模様 16. unknown

よく見るモチーフですが、名前も意味も不明

模様 17.Tsantsanza with pariwa mey

パリワミ(鳩の目)の組み合わせでツァンツァンザ(糸杉の実)の形にしたもの。真ん中の黄色の四角は典型的な糸杉模様。

模様 18.Tsantsanza

ツァンツァンザ(糸杉の実)。小さな糸杉の実を組み合わせて大きな糸杉の実にしたもの。17番と形が同じで使われているテクニックが違う。

模様 19.unknown

よく見るモチーフですが、名前も意味も不明。風車(かざぐるま)と名付けてあげたい・・・ブータンにあるかな?風車

模様 20.Baso

バソ(牛の歯)。模様糸が裏側にいっていて白抜けになっている部分(横向き三角と真ん中の縦線)がバソ

模様 21.Just a design

ただの模様!

きっと、少々答えるのがめんどくさくなってきた織り手さんが「名前なんてないわよ、ただの模様よ!」って言ったんでしょうね(笑)