ブータンのブラ糸を探しに北東インド・メガラヤ州クエン村へ
ブータンの有名なブラ織物を織る糸はエリ蚕という野蚕のつむぎ糸です。ブータン国内では現在見ることのできないエリ蚕の養殖を求めて北東インド・メガラヤ州を訪れました。美しく平和な村の様子をご紹介します。2016年8月の旅のアルバムです。(さらに詳細は、染織の旅報告書2016年版に記録しています。)
Bura is one of the most famous Bhutanese textiles woven with wild silk Eri threads. We visited Khoewen village in Riboi district, Meghalaya in 2016 to observe the Eri farming.
北東インドのハブ都市、アッサム州のゴウハティに到着。宿泊はゴウハティですが時間があったのでメガラヤ州のリボイ地区クエン村に足を伸ばしました。目的は、ブータンで大切な織物に使われているブラ(エリ蚕)の養殖方法を見ることですが、ブータンを抜きにしても北東インドは外国人観光客が少なく、素朴な暮らしが残り、人が穏やかでとてもおすすめです。
州都シロンに続く幹線道路はとても快適。この道をしばらく走り、途中から未舗装道路に入りました。
丘陵のメガラヤはパイナップルの産地。道路の脇の露天でパイナップルを食べました。パイナップルにトウガラシ!!これが甘みをより引き出してとっても美味しい!
目的のクエン村に到着。工房を営むリキンティさんとお嬢さん(左)とご主人(青のTシャツ)が迎えてくださいました。リキンティさんが着ているのはカシ族の民族衣装ジャンカルシャです。メガラヤはキリスト教徒が多く、村にも協会がありました。
工房の中には機織り機や整経台などの道具が並んでいました。綜絖糸(プラスチック糸)が赤いのは、綜絖に通した白い糸が見えやすいようにとのことでした。
エリ蚕の糸で織ったストール。天然染料染め。上からチーク、ラック、ウコン、下2枚は玉ねぎの皮。
ブータンでもよく使われるラック。左の籠に入っているのがラックでこの近く(といっても車で1時間以上)の村で飼育しているそうです。右はラックで染めたエリ蚕の糸。
染めるところは見られませんでしたが、この野生の木の葉を煮て媒染剤として使うそうです。木を見たかったのですがジャングルの中で近くにはない、と言われ残念。きっとアルミニウム集積植物なのでしょうね。
ラックの染色にはレモンを入れるそうです。酸を入れるのはブータンと同じです。
家々の敷地にエリ蚕の飼育小屋があり、エリ蚕たちがすくすくと育っていました。もうすぐ繭を作り始めるよく成長したエリです。餌はヒマの葉。エリ蚕が大好きなヒマのことをエンディと言います。エリ(エンディ)は餌となるヒマからきた呼び名です。
小さいですね〜。かわいいですね〜〜〜。右は2齢、左はたぶん3齢かな。
村の人たちが集まって糸をつむぎ、綛にしていました。この村に1泊して教えてもらえたら楽しいだろうなぁ・・・
繭を作って3日くらいしたところで、繭をポンポンと叩いて繭の穴(薄くなっているところがあります)からムニュムニュと蛹になりかけたエリ蚕を引っ張り出しました。コロコロです。そして家の中に入っていったかと思うと5分後に・・・・
素揚げのエリちゃん!!さっぱり塩味。勇気を出して食べてみたら、サクサクっと軽くてえびせんの味がしました。その後、別のところでもカレー味のエリを食べさせてもらいましたが、この素揚げが一番美味しかったです。
米の粉を蒸したほのかに甘いお菓子。カルカンみたい。そしてお砂糖を入れた紅茶。素朴で優雅なお茶タイムに心和みます。
夕方になってきました。子どもたちも家に帰ります。豊かな水田風景。
まだ世界にはアッサムやメガラヤのような静かな場所が残っています。思い出すと嬉しい旅の記憶です。