【本の紹介】神秘の王国ブータン 染織視点で感動もう一度!

「神秘の王国ブータン」(西岡京治・里子著 NTT出版)、古くて新しいが感動いっぱいです。その感動写真の一部をご紹介します。

 

ブータン女性はロングヘアーって思っている人もいるかも知れませんが、つい最近までみんなショートカットだったんですね。
今はほっそりとしたキラもこの頃は太巻き。2枚重ねて着ていたと聞くけれど、この写真の人たちもそうなのかしら。典型的な青地の「オショム」白地の「キシュタラ」、右端の女性が着ているのは当時流行のチベットのウール布。十字模様はチベット絞り。

神秘の王国

 

ティンプー、家が少ない〜〜〜!
パロのお祭り、私が滞在していた1991年もこんな雰囲気でした。数年前に行ったときには規模は大きくなっていたけれど、集まってきたブータン人全員が民族衣装で、お弁当を広げたり友人と会ったり、本質的なところはやっぱりブータン、と感動でした。コロナがあけたらキラを着てお弁当持ってお祭りに行きたい!
左の写真の女性、浮織のキラを着ていますね。帯は幅広。カード織りの時代はこれから。そして、足元は素足。首に高価な岩サンゴのネックレス。それを襟元から少しのぞかせる感じで奥ゆかしくつけるをよし、とした時代。

神秘の王国

 

織物の産地東ブータン。インドとの国境地帯でしょうか?いいなぁ、この時代にタイムスリップしたいです。積まれた布はキラのようです。ストライプが多い。きっと当時のキラは平織りのストライプや浮織りのストライプが多かったのでしょう。刺繍のような片面縫取織りはこの後で急速に発展したのかな、と想像します。

神秘の王国

 

この写真もたまらないですねぇ。なんと大量のエリ蚕の繭。エリ蚕の繭には白とオレンジがあり、オレンジのものも煮ると色が落ちて薄いベージュになります。今ではエリ蚕の飼育はブータン国内では行われていませんが、当時はこんなに大量の繭を育てていたということなのでしょうか。ブラと呼ばれるエリ蚕の糸、その糸で織られた布は、ブータンを代表する素材であり織物です。

神秘の王国

 

ブータン東部山岳地帯のサクテンの人。ヤクのフェルトの帽子の形が今とちょっと違います。この形は国境の東側のインド・アルナーチャルプラデシュ州のモンパの人たちのものに似ています。国境を自由に往来しているとはいえ、やはり国境があることでその東と西でファッションが変わっていったのでしょうか。

神秘の王国

ブータンの暮らし、手仕事、食文化、ブータン人気質、などなど、とっても内容豊かなよい本です。ぜひ読んでみてください。

 

神秘の王国

「ブータン 神秘の王国」 西岡京治・里子著 NTT出版 1600円+税
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