ブータンの染織/textiles」カテゴリーアーカイブ

ゼムの葉とボケの実は媒染剤?

ブータンの染色の特徴のひとつははゼム(ハイノキ科ハイノキ属の植物)の葉とボケの実(カリンくらい大きい。酸味が強い)を使うことです。

ゼムの葉はアルミを多く含み、ミョウバンを使った媒染と同じ役割をしていると考えられている一方、本当にアルミ分が溶けだしているのか疑問、という声もあります。葉に化合物として蓄積されているアルミが湯で煮ただけでアルミイオンにはならないだろう、ということです。

一方、酸っぱいボケの実を入れることについて、染色に詳しい方たちは「赤い色味を鮮やかにするため」といいますが、ブータン人は、酸っぱい実は色を糸にぎゅっと押し込んでくれるのだ、といいます。やっぱりブータン人のいうことには意味があるんじゃないでしょうか?

さて、まったく素人考えで笑われるかも知れませんが、いろんな人にあれこれ聞いて、こんなストーリーを考えてみました。

まず、ゼムの葉を煮ることでアルミは化合物のままの状態で葉から出てきて、糸に付着する。
酸を加えた染液にその糸を入れて煮ると、アルミの化合物はいままでペアになっていた物質を手放して色素と結合する。
もしこれが成り立つとしたら、ゼムの葉は酸っぱい実の力を借りてアルミ媒染の働きを果たしているということになるのではないかな?と思うのです。
それを科学的に証明できないでしょうか!

<ブータンのラック染めの例>

左:ゼム(Simplocos sp.)  寒冷なブムタン地方のもの。温暖な地方では常緑樹のゼムがあり、手に入ればそちらのほうが良く染まるという。

右:ゼムの葉を湯で煮出した中に糸(ウール)を入れて少し煮てから自然に冷ましたもの。糸は黄色くなる。

左:染色の大事な脇役のボケの実。大きくて酸味が強い。生でも乾燥させてもよい。

右:乾燥したボケの実を水につけている。水が酸っぱくなる。

左:ラック(ラックカイガラムシの分泌物。臙脂色の染料)にお湯をさしてかき混ぜるとお湯が赤くなる。これを漉して染液をとる。

右:ラックの染液にボケの実の酸っぱい液を加えている。

左:ラック染液にゼムであらかじめ煮た糸を入れてさらに加熱して染める。
右:染めあがった糸。

5/17(金)・5/18(土)ブータン・ティータイム in 大阪

ブータンの染めや織り、そこに暮らす人や自然、食べ物など、旅の写真とお話の会を開きます。織りの実演と染織品の展示もいたします。ご参加お待ちしております。

2019年5月17日(金)・18日(土)
10:30~17:00 (下記時間以外は自由に展示をご覧いただけます)

午前の会 11:00~13:00 
「東ブータンの織物産地」~“王家のために布を織る”ゲンパカップ村、綿栽培のトンサ村、野蚕織物のラディ地方~

午後の会:14:30~16:30
「ブータン山岳遊牧民族」~ヤクのフェルト帽子のブロクパ族、竹の帽子のラヤ族~

*1日目、2日目とも同じ内容です。
*各30分前から受付

定 員:15名様(先着順)

会 費:1500円 ブータンのハーブティー、お楽しみスイーツ付

場 所:Gallery & Space SIO 大阪市中央区南船場1丁目3-26

お申込:ヤクランドへお申込ください(①ご参加者全員のお名前、②ご連絡先 ③ご希望の日にち・午前か午後か)④特にご興味をお持ちの内容(もしあれば)

★3/16~3/23、4/13~4/22は海外出張中のためお返事が遅れますがご了承ください。
★お申込後にキャンセルされるときは必ずご連絡ください。

 

ブータン・ペマガツェルの綛上げ動画

染織情報α(2018年12月号)に -「綿織物」とペマガツェル県トンサ村 ‐ の記事を書かせていただきました。

その記事の中の「綛上げ」の写真を理解しようと、自分で模型を作って考えてくださった方とお会いしました。

こんなにじっくり読んでくださる方がいらっしゃったとは、びっくり。嬉しかったです。

質問してくださったMさんのために、動画をアップいたしました。

ラックの養殖|東ブータン染織の旅

東ブータンの旅(2019年10月)で、ラックの養殖を見にウズロン村を訪ねました。
We visited Uzrong village in Eastern Bhutan in October 2019.

メインロードからはずれて1時間。それでも、道路で村まで行けるってとっても有難いです。

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遊牧民の糸紡ぎ・チベット染織の旅2018 Spinning Wool, Tibet

今年も染織の旅報告書を作成しています。原稿書きは忍耐オンリーですが、じっくり思い出す作業にふたたび感動を味わっています。
標高5000m近いカローラ峠で遊牧民に糸紡ぎを見せてもらえました。
羊毛を紡ぐスピンドルは緯糸用と経糸用で違うものを使っています。
We met nomad ladies on Carola pass ( alt. of almost 5000m ) in Tibet in our tour August 2018. They were using two different types of spindles, one for warp, the other for weft.

緯糸用のスピンドル。ひっかけるところがありません

緯糸は手でゆるく紡ぎます

手を一杯に広げた長さになったら巻き取ります

経糸用スピンドル 先端にひっかけるところがついています

チベットから持ち帰った染料で染めてみました with dye staff brought back from Tibet

8月のチベット染織の旅では、思いがけず町のお店で染料を手に入れることができました。これだけの染料を売っているということは、使う人がいるということ、嬉しかったです。
I purchased natural dye staff from a local shop in Tibet which mean there were people who are using those material to dye wool. Though I could not meet them but it was so nice to know.

ネパールあたりから入ってきたらしいアカネ(ブータンと同じ)、たぶんインドで作られた泥藍、ブータンとは違う姿のラック、そしてチベットに生えるチュツァという木。このうちアカネ、ラック、チュツァを買ってきました。

アカネは文句なしの綺麗なオレンジ色、ラックは今までのイメージを覆す藤色、そしてチベットオリジナルのチュツァはとってもコクのある黄色に染まりました。From left to right : silk handkerchiefs dyed with lac, ” chutsa “, and madder.

アカネ madder

これはアカネ。たぶんインドかネパールから運ばれてきたのでしょう。ブータンと同じマンジサアカネと思われます。Madder, most probably brought from Nepal or India. It looks like Rubia Manjith same to Bhutanese madder.

アカネで煮染め dye with madder

煮るだけでどんどん色がでてきてミョウバン媒染で綺麗に染まりました。mordant – alum . madder gives strong bright orange colour.

ラック lac

このラック、お店で見たときにはラックだと思いませんでした。既に色素や蝋分はあまり残っていないので、ラックっぽくないです。I could not believe this one was lac when I saw it at a local shop in Tibet.

炭を煮溶かしているような感じの黒い液になりちょっと心配でしたが、最終的には日本人好み(?)の上品な藤色に染まりました。The solution of this lac was black. With alum mordant, finally I could get graceful light purple colour.

チュツァというチベットの木

チュツァという木、何の木なんでしょう。どなたかご存知の方いらっしゃいましたら教えてください。This dried pieces of wood called ” Chutsa” is original Tibetan dye staff. I wonder what kind of tree it is. Please tell me if you know.

チュツァの染液は赤 Chutsa solution red colour

柔らかいので金づちで叩いて小さく砕き、水に入れて加熱するとすぐに輝くようなワインレッドの液になってきました。本当に色がよく出るので嬉しいです。ミョウバン媒染をしたシルクのハンカチを入れると、液は赤なのに黄色く染まりました。独特の酸味のある臭いがしますが、pHを測ると酸性(pH4)でした。Chutsa gives strong and clear wine red solution. The handkerchief got rich yellow colour.

スピニングパーティーで販売します。アカネ(100gパック650円)、ラック(65gパック350円)、チュツァ(ぴったりのグラムに分けられませんが、30g 450円 グラムによりイロイロ)です。数に限りがございますのでご了承ください。

11/23(金)~11/25(日)ブータン 手織物展示とお話の会 (広島)

昨年広島県立美術館のブータン展で初めて広島に行き、「もう一度広島に来たい、ブータンの会を開きたい!」と思ってしまいました。どうしてそんな風に思ったのか不思議です・・・・。美術館のご縁でお会いした方にご相談したところ、お知り合いの染織家、高瀬安芸さんが築100年の古民家をリノベーションしてカフェ・ギャラリーと始めるというお話にますますご縁を感じ、するすると話しが進み、11月23日~25日に「ブータン 手織物展示とお話の会」を開かせていただくことになりました。

11月22日(木)は午後から展示準備をしています。カフェにいらっしゃいましたら覗いてくださいませ。

11月23日(金)~25日(日)10:30~17:30 展示はご自由にご覧ください。小物や糸、資料の販売もいたします。お話の会の間は一時的にクローズさせていただきますがご了承ください。

お話の会(スライド上映)は、11月23日(金)は14:30~16:00「ブータンの魅力、どんな国?」と題して、私の好きなブータンについて語らせていただきます。テレビでいうような「幸せの国」かどうかは?ですがブータンって本当に魅力的な国です。

11月24日(土)と25日(日)は、午前の部11:00~12:30 「ブータンの民族衣装と手織物」。 女性のキラ、男性のゴ、そして各地の豊かな織物をご紹介します。午後の部14:30~16:00「ブータンの伝統染色ーラック・リュウキュウアイ他」では、ブータンの力強い染めをご紹介します。

「片面縫取織り」の簡単な実演もできるようにただ今練習中です。3日間とも10:30~10:50、14:00~14:20 (他の時間は随時)実演いたします。

会場をご提供くださったcafé&gallery 柿尾坂さんのコンセプトは「懐かしいと新しいが出会う場所 集い そして広がる」。どんな出会いと広がりが待っているのかワクワクします。そして生産者の方から本当に美味しい素材を仕入れて心を込めてお料理したモーニング、ランチ、スイーツ。広島の秋と美味しい食事、今からとても楽しみです!

来年6月「ブータン 手織物・暮らし・青いケシ8日間」パンフレットができました

毎年6月恒例の、「手織物・暮らし・青いケシ」8日間コース、来年のパンフレットができました。

このコースは、初めてブータンに行く方にぴったりな、有名な見所と、ヤクランドならではのブータンの暮らしや自然にふれる魅力を組み合わせた ちょっとお得な安心コースです。

首都ティンプー、空港のあるパロ、そしてガイドのふるさと「ハ」を訪問します。

ホテルの食事は辛くなく、野菜も多いので、ほとんどの方が美味しいと召し上がっていらっしゃいます。1度くらいはブータン人の日常的な食事を(それほど辛くないです)体験してみよう、というプランも入っています。

新しくなったのは、ティンプー在住の織りの名人ジャンベさんにご協力をいただき、ジャンベさんのご自宅で見事な機織りをじっくり見せていただくという内容です。ジャンベさんは東ブータンの本当に山奥の、ブータンで一番織物が有名なゲンパカップ村出身です。楽しいお話もきっと聞かせてもらえるでしょう!

ブータンに行ってみたいな・・と思っておられる方この機会にぜひご参加ください!

手紡ぎのバターランプの芯 Hand spun butter lump wick

3月の東ブータン染織の旅の途中、小さな市場でバナナを売っていた村の女性が綿を紡いでいました。こんな地域で綿を扱っている村がある!!???と、驚いてあれこれ聞いてみると、布を織るのではなくて、バターランプの芯にするのだそうです。 During our Bhutan textile tour, we met a lady spinning cotton while selling banana from her village. She was making wick for butter lumps.

綿を紡ぐ(コマ村)

その後、コマ村に泊まり、早朝散歩していると尼さんが綿を紡いでいました。こちらはちょっとハイテクです。村の子供が病気になったので、祈祷が行われているのだそうです。バターランプ、いっぱい使うのでしょうね。We stayed in Khoma village. Early morning, a nun was spinning cotton for butter lumps.  She was preparing for the ritual for a sick child in the village.

バターランプを灯す(コリラ峠の灯明堂)

移動途中の峠に灯明堂がありました。遠くから車できた家族がバターランプを灯してお祈りしていました。ブータンのどこかでいつも明かりがお供えされています。 Driving along mountain road, we stopped at a high pass where a family came to offer butter lumps in the small prayer room. There are always someone offering butter lumps for somebody in Bhutan.

 

ブータン国境近くのエリ蚕養殖の村 A small village rearing Eri silk worms near Bhutan border

2018年3月 東ブータン 織物の村々を訪ねる旅
その帰り道、ブータンの「ブラ織物」の素材であるエリ蚕を見るために
国境近くの小さな村を訪ねました

山はブータン、平地はアッサム(インド)

村の人たち(ボド族)

エリ蚕飼育中

エリ蚕の餌、ヒマの葉を束ねる

エリ蚕の蛾

エリ蚕の卵

乾燥させたバナナの葉の中で繭をつくる

エリ蚕の繭

繭を作るところを頑張って動画で撮影してみました。分かるかな?